Arto Lindsayが歌う三宅順のAlviverdeを聴いて、私が思い出したのはBeirutのMount Wroclaiだった。
ウロクライ山は、彼らBeirutのデビューシングルだった。
あの曲の凄味は、Zach Condonという当時19か20歳の若者が、バルカン音楽とアメリカのポップミュージックを合わせて英語で歌う、という、自分の音楽が受け入れられるかどうか、まだわからなかった時の不安から来ているような気がする。
だから、それが大当たり(ってそれでも局地的だが、それでも熱狂的なファンは世界にたくさんいる)した後の彼の音楽は、ノスタルジアに傾斜していく。ああ、受け入れられた、というちょっとした安心が、Zach Condonの伸びやかな声から聞こえる。
それは幸福なことだと思うが、私にとっては、今まで彼らが録音した中で一番心を打つ歌はあの最初の歌だ。