しゅうしょくかつどう

友人がある大企業の学生向けパンフレットをぱらぱらめくりながら私に、「ああ、ここに載ってる人、これも、これも、ブサイクばっか。なんでこんなの載せるんだろう。」と言う。「ほら、この人なんかこんなに太ってるし。ああ〜」と指差した社員のウエストを見ると、か細くないだけで、私には太ってはいると思えない。

困惑した私は、「いいじゃん別に、仕事ができれば」と言った。


彼がアメリカ人のガールフレンドと付き合っていた時に、私に愚痴ったものだ。「今の世の中は、女の人が優位になっている」と。わけを聞くと、「だって、男はいっつもおごってやらなきゃいけないし、色んなことしないといけないし、泣かれたら何言われても聞くしかないし、女の人はとっくに男と平等な権利を手に入れてるのに」とかいうことだった。私は、アメリカの男性と女性の賃金平均に大分差があることを挙げて反論したものだが。実際、アメリカ人の女子には自分がお姫様で周りの人間は本来自分の言うことを全て聞くべきなのだと本気で思っているようなタイプがいるので、アメリカ人女性について言うならまだわかるが、日本人女性一般は全くそうではないだろうと。しかし彼は自分のガールフレンドとその母親から受けた印象が余程強かったのか知らないが、意見を曲げなかった。


後になって彼の「女性優位論」を思い出して、あんなこと言って愚痴ってた同じ口で言うことがこれだからな、と後で苦笑というより苦い感じが残った。勿論彼はパンフレットに載っていた男性の容貌については気にしてもいないようだった。

あるいは、彼にとって「美人じゃない」女はそもそも女とも認識されない存在なのかも知れない。


私もブサイクなので、こういう人間と世の中で渡り合っていかなくてはならないということだ。美人になりたいとも思わないが。ああいう人は年を食えば大概誰にでも「こんなババアばっかり」と言うんだろうし。