女なのに

先週、北アルプスを一人でテント担いで縦走した時、山の上で女一人でテント背負っている人は他に見なかったので(上高地では一人見たけど)、色んな人から珍しがられた。
その中に、中学生くらいの女の子がいた。家族で登りに来ていてお母さんと一緒に北穂の小屋の前にいて声をかけてきた。


あの、涸沢から登って来ましたよね。
女の人なのに、テント持って登ってるなんてすごいですね。


びっくりした。
「女の人なのに」か。
とっさに何も言えなかった。


女が、他の女と群れずに、あるいは男の付き添いなしにテント担いで山に登れるのは当然だ。それでも10キロも担いでないんだから。
私に余程体力があるわけではない。多少の山の経験はあるけど。
女だからどうだとか、そんなことは全然考えずにテントを知り合いから借りて山に来たら、色んな人から「女の子一人でテント担いで」と驚かれた。私の方は、他にそういう女がいないことに驚いた。
それはどうでもよかったけど、中学生ぐらいの女の子に「女の人なのに」と言われて、ズンと来た。おじさんおばさんがそう言うのはいちいち気にしないけど、14歳ぐらいの女の子にああ思って/言って欲しくなかったな。ほめてるつもりだったんだろうけど、全然嬉しくなかった。

「私のやってることなんてたいしたことじゃないよ。
女なのに、ってことはないよ。
あなたも、やりたければ簡単にできるんだよ」

と言えればよかった。